下痢は、以下に挙げられる様々な原因によって起こります。
過度な暴飲暴食によって腸の働きが追いつかなくなり、下痢になります。なお、暴飲暴食による下痢は半日から一日絶食し、腸を休息させることで改善できます。
食あたりや食中毒によって細菌に感染すると腸粘膜に障害が生じ、腸管内の分泌液が過剰となります。その結果、腸内環境が乱れて下痢が起こります。
コーヒーに含まれるカフェインやにんにくに含まれる硫化アリル、唐辛子に含まれるカプサイシンなど、刺激物を豊富に含む食品を摂取した際に、下痢が起こります。これは、刺激物の成分が消化管に刺激を与えることが原因となっています。
月経前、女性の体内ではプロゲステロンという女性ホルモンが分泌され、腸の働きを弱めてしまいます。しかし月経が始まった途端、今度はエストロゲンという女性ホルモンが分泌され、腸の働きを活性化させます。このように、生理が始まるとずっと停滞していた腸が強制的に動かされるため、下痢を起こしやすくなります。
身体が冷えると自律神経が乱れ、腸が異常伸縮を起こすために下痢となります。
胃の中で活動を行う胃酸は、食べ物の消化に必要不可欠な物質です。胃酸は加齢や体調の悪化によって酸度が低下していき、分泌量も低下します。その結果、食べ物の消化不良が生じ、下痢を招きます。
排便は自律神経によってコントロールされています。よって、自律神経の機能が低下するとスムーズな排便ができなくなり、下痢になります。
筋肉の歪みは骨格の歪みへと発展します。その結果、身体全体に歪みが生じ、神経や血管、体液を圧迫し、下痢を引き起こします。
身体は老化や疲れなどによって酸化します。身体が酸化すると血液・栄養・酸素などの循環が悪化し、体臭や口臭、シミやたるみ、精神的な疲労、白髪や肩こりなどが起こります。また、身体中の臓器の機能が低下し、胃や腸にも悪影響が及びます。その結果、大腸内に未消化の汚物が溜まり、腐敗します。これにより腸内環境が悪化し、下痢になります。
人の腸内には善玉菌・悪玉菌・日和見菌といった3種類の腸内菌が存在します。 この中で、腸内環境を悪化させるのが悪玉菌です。腸内に悪玉菌が増えすぎると胃や腸を通り抜けてきた食べ物のカスが腐敗します。こうして身体に有害な液体やガスが発生します。これらの物質により、便秘や下痢といった症状が生じてしまいます。
胃腸が下垂すると、本来の蠕動運動が鈍ります。蠕動運動が鈍ると胃腸の消化吸収が不十分な状態となり、下痢が生じます。
腸内環境を悪化させ、下痢や便秘を引き起こす悪玉菌。その悪玉菌を撃退するには善玉菌を増やすことが効果的です。なお、腸内細菌は一定の総量以上に増えることはありません。つまり、乳酸菌が増えれば悪玉菌の数は減ることになります。腸内環境において悪玉菌よりも善玉菌の数が増えれば、下痢や便秘が解消されます。また、善玉菌の働きによる健康効果を期待することが可能です。
善玉菌の主な働きとしては、以下のようなものが挙げられます。
善玉菌は、ビフィズス菌と乳酸菌の2種類に分かれています。ビフィズス菌と乳酸菌はどちらも善玉菌の働きで身体の健康を促進してくれます。 しかし、ビフィズス菌と乳酸菌にはいくつかの違いがあります。
まず、形状です。ビフィズス菌は棒状や棍棒状ですが、乳酸菌は棒状のみならず球状のものあります。 次に、棲息場所です。ビフィズス菌が人や動物の腸内に棲息しているのに対して、乳酸菌は牛乳やヨーグルトなどの乳製品、漬物などの一部発酵食品にも棲息しています。ビフィズス菌は酸素があると生育しない生成偏性嫌気性ですが、乳酸菌は酸素があっても生育する通性嫌気性です。乳酸菌が腸以外にも棲息できるのはこの理由からです。
他の違いとしては、腸内善玉菌中の占有率が挙げられます。これはビフィズス菌と乳酸菌とで大きく異なります。ビフィズス菌の占有率が99.9%以上なのに対し、乳酸菌はわずか0.1%以下となっています。
この結果から、「じゃあ、乳酸菌ではなくビフィズス菌だけを増やせばいいのでは?」と考える方がいるかもしれません。しかし、それではいけません。乳酸菌には、ビフィズス菌が棲息しやすい環境を作る働きがあります。よって、乳酸菌が全くない状態ではビフィズス菌の生育力が低下し、悪玉菌が増えてしまうのです。
また、ビフィズス菌はストレスや偏食、運動不足や加齢などの影響で減少してしまいます。ビフィズス菌の減少を防ぐためにも、ヨーグルトや発酵食品などから乳酸菌を効率良く摂取しましょう。